更生保護公開研修会 「子どもの生きづらさと自己肯定感」
更生保護公開講座を開催
日 時: 7月7日(火) 15:00~16:30
場 所: 射水市大島社会福祉センター
講 師: 浜谷直人氏(首都大学東京教授 教育心理学者)
↑ポスターをクリックすると、大きな画像が開きます
◆射水保護司会では、市民の皆様に「更生保護」について知っていただきたいと、年に一度公開講座を行なっています。
本年度は7月7日、首都大学東京教授の浜谷直人氏をお招きして「子どもの生きづらさと自己肯定感」と題してお話いただきました。
「生きづらさを感じる子を、ひとりだけ場所を変えて支援しても、元の環境に戻れば元通りになってしまう。
全体をを含めた環境への支援が必要である」
また、「良いことだけでなく、嫌だったことも、話を聞いてもらえることで良い記憶が残り、心の安定が得られる」
という言葉に、私たち保護司の心構えや、「更生保護」にも通じるところがあると思いました。
不幸にも犯罪や非行をしてしまった人たちの立ち直りにも、やはり周囲の理解や手助けが必要ですし、環境が大きく作用することもあるからです。
講演後には、熱心な質問が相次ぎ、先生から更に多くのお話をしていただきました。
なお、講演の内容については以下に更生保護女性会からの報告記事を掲載します。
ご参照ください。
第65回「社会を明るくする運動」更生保護公開講座に参加して
演題 子供の生きづらさと自己肯定感
講師 浜谷直人氏(教育心理学者 首都大学東京教授)
浜谷先生は、射水市六渡寺ご出身で、地元の小学校、中学校を卒業して高岡高校、東京大学を卒業されました。
このような身近で立派な先生の講座を聞く機会に恵まれ光栄に思いました 。
はじめに、「子供の生きづらさ」を理解しているか?
「自己肯定感を感じにくい」子どもの苦しさ、寂しさを共有しているか?
と問いかけられました。
一例として、ある小学校の式中で、全校の子供の中からA君が
「 校長先生の髪の毛カツラ」
と言ったとき、校長先生は
「よくわかったね」と、その子供の言葉に、やさしく自然に答えられ、親にもしつけについて注意することもなかったそうです。
まさに、その子供の気持ちを共有されたのです。
発達障害の子供が、自己肯定感を持つことは困難です。
あまり先のことを言われるのは、やる気をなくすものだということ、小さなことでもよくわかったよと言ってあげられる自分でありたいと思いました。
育てるということは、子どもに良質の記憶をつくることです。
良質の記憶とは一緒に体験し、語り合うことができることだと知りました。
人は機嫌が良く気持ちが安定している状態と、機嫌が悪く不安定な状態を行き来して人が成長し、安定している状態を維持すると、立ち直りが上手になるのだとわかりました。
このことは、更生保護に携わっている自分たちにとって大変ためになる話でした。
次に自己肯定感(自尊感情)三つの特徴について学びました。
①ありのままの自分を受容し尊重する。②長所や短所に気づく。
③自身の成長欠点の改善、克服を望む。
これらはプライドとしての自尊感情を他者との比較による優位な自己評価によって生じる、比較的激しく不安定な感情であることを知りました。
保護司活動や更生保護女性会の活動に大変役立つことばかりです。
最後に、「心を入れ替えること、すなわち、再び生き変わることは無理である。
「人間を初めから作り変えることはできない」
「今までの自分の生きてきたことを土台にして生きていくことこそ、本当の意味での生きることである」
という言葉を心に刻み、多くの感動をもらい、これからの活動に役立てたいと思いました。