射水保護司会は富山県の中央部、射水市で活動する保護司により構成される団体です

自主研修

講師:檜物研修部長

社会復帰促進センター概要

11月18日19日、播磨社会復帰促進センターに先進地視察研修で訪問します。

事前に、施設や運営方法、あらまし等を学びました。

 

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※研修部 自主研修資料(各施設のホームページの記事等を参照しています)

1.まえがき
社会復帰促進センターとは、効率的かつ効果的に社会資本を整備することを目的に制定

された「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法

律第H7号)」に基づいて、過剰収容の緩和や、新たな刑事施設運営の在り方を模索する

などの観点から、P F I (Private Finance Initiative)手法(公共施設等の建設、維持管理、

運営等を民間の資金・ノウハウ等を活用して行う新たな手法)を用いた、官民協働の刑事

施設のことである。

その結果、現場の職員がやってきた従来のプログラムに加え、「特化ユニット」(知的

障害を含む、心身の障害等のために特別な支援を要する受刑者を対象とする)の設置や、

民間のノウハウ等を生かした新プログラムが開始されることとなったのである。

簡単にお答えしますセンターには再犯を犯す可能性が低い人、刑事罰が軽い人他の刑務

所で模範的であり仮釈をつけてもいい人等が移送されます。又中は半官、半民で運営さ
れ収容者は刑務官の付き添いなしに移動できます。(センサーで見張られている)

ここで違反や問題を起こすと一般刑務所に移送されます。

 

過剰収容の改善と経費削減を図るため、民間の知恵を生かして整備されているPFI(プ

ライベート・ファイナンス・イニシアチブ)方式の刑務所。拘束や懲罰など公権力行使は

官が担い、職業訓練や警備などは企業が担当する。初犯者が対象。また、構造改革特別区

域法施行令の改正(平成18年5月24日施行)により、民間事業者に委託できる事務が

追加されました。

2.運営方法の概要(官民協働による刑務所の整備・運営事業)

「諸外国の民営刑務所」の形態を類型化すると、次の5類型に分類できると考える。

①施設・管理運営全体を民営化する。

②施設は国・管理運営は民間。

③施設は民間・管理運営は国。

④施設は民間・管理運営は官民協働。(美祢と島根あさひ)

⑤施設は国・管理運営は官民協働。(喜連川と播磨)

「我が国初の官民協働刑務所」と呼ばれるPFI手法を利用した社会復帰促進センター

は、美祢・島根あさひ・喜連川・播磨の4施設であるが、これらはいずれも構造改革特別

区域制度を活用した事業であり、構造改革特別区域法により、

①刑事施設における被収容者の収容及び処遇に関する事務の一部を一定の要件をみたす民

間事業者に委託すること、及び、

②刑事施設の中に設けられた診療設備等の管理を公的医療機関等に委託し、地域住民に対

する医療を提供するために施設の診療設備等を利用することを可能とする特例が設けら

れている。

これを受けて,これまでに,山口県及び美祢市の計画,島根県及び浜田市の計画,栃木

県・さくら市・大田原市の計画,並びに,加古川市の計画の計4つが,特区計画として認

定を受けているのである。

そしてこれらの事業をそれぞれ,「美祢社会復帰促進センター整備・運営事業」,「島根

あさひ社会復帰促進センター整備・運営事業」,「喜連川社会復帰促進センター等運営事

業」,「播磨社会復帰促進センター等運営事業」と称し,以下の表の計画のとおりに順次

運営を開始し,現在に至っているのである。

3.社会復帰センター各施設

(1)播磨社会復帰促進センター

   所在地 675-1297兵庫県加古川市八幡町宗佐544
   TEL 079-430-5503   FAX 079-430-5508
播磨社会復帰促進センターは,施設の建設を国費で行った上で,施設の維持管理,警備,
作業,教育などさまざまな業務を,法務省と民間企業が協働で実施する運営に特化したPFI
 (Private Finance Initiative)事業として運営される新しい刑務所です。

播磨社会復帰促進センターは,運営に特化したPFI方式を採用し,平成19年4月1日,
官民協働の刑務所として誕生しました。
当センターの運営は,構造改革特別区域法に基づく構造改革特区の認定を受けて民間事
業者に大幅に委託され,民間のノウハウ・アイデアを積極的に活用し,国と民間事業者が
互いに協力して施設運営をしていくという新しい形の刑務所です。
敷地面積
 126,000m2
建物面積
 延47,000m2
 総工費121億3,500万円
収容定員

1,000人(うち特化ユニット120人)精神疾患 知的疾患の部門

国民に理解され,支えられる刑務所
官民協働
 PFI方式(Private民間 Finance資金 Initiative主導)を採用することにより,民間のも
つノウハウを積極的に導入し,業務の効率化と質的向上を目指します。また,受刑者の人
間性の尊重と円滑な社会復帰に向けて支援を行います。さらに,広報活動を推進すること
により,行政サービスの透明性を確保します。
地域との共生
当センターの運営は,加古川市が構造改革特区の認可を受け,大幅な民間委託が可能と
なったことから,地域雇用の機会の拡大,地域社会資源の有効活用が見込まれるとともに,
刑務作業を通しての地元企業の活性化,地域で行われる行事等への積極的参加などを通し
て,地域社会に貢献し,地域との共生を図ります。

播磨社会復帰促進センターでは、犯罪傾向が進んでいない26歳以上の男性受刑者を収
容します。刑務所への収容が初めてで執行刑期が1年以上8年未満であること、集団生活
に順応でき、心身に著しい障害のないことなどが条件になっています。

また、収容定員1,000人のうち120人は特化ユニット対象者どして精神疾患や知的障害の
ある受刑者を収容し、特別なプログラムにより各種処遇を行います。

国の職員は約150人ですが、このうちの100人以上は被収容者の処遇や警備を行う処遇
部門の職員です。民間の職員には、総務系業務などのほか、構造改革特区制度を活用する
ことで、新たに受刑者の行動の監視や健康診断、社会復帰を支援するための教育プログラ
ムや職業訓練の実施等の業務を委託できるようになりました。

(2)喜連川社会復帰促進センター
喜連川社会復帰促進センターが設立された背景には、近年の刑務所の過剰収容の状況が
あります。各刑務所では、居住空間が狭くなったことによる対人トラブルが増えるなどの
問題が発生しました。法務省では、収容棟の増築工事などの対策を講じてきましたが、各
刑務所とも、敷地内にこれ以上の建物を増築することが困難となっており、収容人員増へ
の緊急対策として、新刑務所の建設が必要となりました。

この地には、以前、黒羽刑務所の支所である喜連川刑務支所があり、地元の方からは、
喜連川農業土木学園と呼ばれていました。同支所では、開放的な処遇が可能な受刑者に対
し、農業、園芸などの職業訓練や大型建設機械の運転免許取得のための実技講習などの社
会復帰に向けた取り組みを行っていましたが、対象受刑者の減少から平成11年に廃庁と
なっていました。
敷地面積
425,891m2 (東京ドームの約9倍の広さ)
建築面積
85,333m2
収容定員
2,000人
(精神的・知的障害のある受刑者250人、身体障害のある受刑者250人を含む)
収容対象者
犯罪傾向の進んでいない受刑者(男子)
法務省では、刑務所の過剰収容対策として、新刑務所の適地を探していましたが、自然
環境に恵まれたこの地において、新刑務所を建設することを決定し、一方、施設運営につ
いては、我が国の厳しい行財政事情を踏まえてPFI手法を活用することとし、ここに東日
本では初めてのPFI方式による官民協働の刑務所「喜連川社会復帰促進センター」が誕生
することになりました。

 

(3)島根あさひ社会復帰促進センター
島根あさひ社会復帰促進センターは、犯罪傾向の進んでいない男子受刑者等、2000名
を収容する施設となっております。そして、その中には、身体障害を有する者や精神・知
的障害を有する者など、特別なケアを要する者も含まれています。
敷地面積 約325,000m2

建物面積 刑事施設エリア:98,5 57m2 (写真:右側)地域交流エリア:約16,304m2

収容定員 2000名

職員数 国:約200名 民間:約300名

 『共に創る』
ー「地域との共生」から「共創」ヘー 共に創る施設をめざして

島根あさひ社会復帰促進センターが、受刑者の真の改善更生と円滑な社会復帰の実現を
目指し、矯正と言う大海原へ船出の舫(もやい)を解く今日このとき、いま一度立ち止ま
り、これまでの矯正の歴史を振り返ってみると、そこに見えるものは罪を犯したひとびと
の改善と更生のために捧げられた、関係者のひたむきな苦闘の歴史そのものです。
そして、今日から始まるこれから30年後、50年後の矯正の姿を思い描いてみてくだ
さい、「共に創る」というところから。

新しいビジョンを備え持つ刑務所の実現を、そして、これからの時代に求められる矯正
のあるべき姿に一歩でも近づくための努力を、「共に創る」というところから、私たちは
始めてみようと思っています。
官と民がそれぞれの叡智とネットワークを活かして共に創ることはもちろん、地域と共
に創ることを重視します。広範なひとびとの力と、島根の自然と歴史、石見の音と匂いと
色、地域の豊かな資源に力を借りながら「共に創る」、そして、地域の「思い」に寄り添
いながらこの島根あさひ社会復帰促進センターを「共に創っていく」ことに、私たちは真
摯に取り組んでまいります。
「地域の力」と「国の経験」と「民間のノウハウ」とが融合した「社会復帰支援コミュ
ニティ 島根あさひモデル」がこの地に誕生し、新しい矯正の一つの道しるべとなるよう。
そしてこの島根あさひ社会復帰促進センターが社会に貢献できる施設となるよう、一人
一人が高い志を持って施設を運営していきたいと考えております。

 

 (4)美祢社会復帰促進センター       
 所在地:〒750-0693 山 口県美祢市豊出前町麻生下10番地
 TEL : 0837-57-513 1  FAX : 0837-57-5161
 敷地総面積:280β22し㎡ 収容人員士受刑者[男]500人・受刑者[女]800人
 職員数国職員175人・民間職員約820人

 2007年4月、美祢社会復帰促進センターは、・我が国初のPF I手法を活用した官民協
 働の刑務所として発足しました。当センターの整備はPF亅事業者によって行われ、運営
 の一部も委託されています。民間事業者のアイデアやノウハウ、を活用しつつ、国とPF !十
 事業者が協力して刑務所運営を行うことによりい相互の持ち味を活かして、より効率的か
 つ効果的な新たな矯正処遇等を行うごととしています。このような取組にようて、受刑者
 の改善更生と再犯防止を実現し、もって国民の安全・安心な生活を確保したいと考えてい
 ます。
 国民に理解され、支えられる刑務所                         ・・
 犯罪情勢の悪化等に伴う刑事施設の過剰収容、これに起因する処遇環境の悪化や刑事施
 設職員の過重負担を緩和するため、我が国初の官民協儉により運営する新たな刑務所「美
 祢社会復帰促進センター」卜が、山口県美祢市に誕生しまノした。当センターはレ「国民に理
 解され、支えられる刑務所」という理念の下、国民・地域との共生による運営を行ってい
 きます。また、多様で柔軟な処遇が可能であ。り、可塑性に富んだ初犯受刑者を収容して、
 徹底した矯正処遇等を実施し、早期に社会復帰できるよう「人材の再生」を図ります。

 当センターは、すべての業務を民間が運営する「民間刑務所卜とは異なり、国職員と民
 間職員が協働して運営する「混合運営施設」です。サービスの提供主体は国であって↓刑
 務所管理に伴う行政責任については、国がすべて負うこととなります。

 当センターの収容対象は、犯罪傾向が進んでおらず、初めて自由刑の執行を受ける(初犯)
 者のうち、心身等に著しい障害がなく、集団生活に順応できると思われる者としています。

 更に、・男性受刑者にづいては、社会において安定した就労状況が維持されていたこと、帰
 住環境が良好であることなどの、条件を満たした受刑者を収容するよう很定しています。

 国の職員定員は175名です。このうち、教育を担当する教育専門官1名、受刑者の資質及
   び環境の調査を担当する調査専門官4名を除く170名卜は全て刑務官が配置されでいます。

 社会復帰サポー卞美祢株式会社は、美祢社会復帰促進センター整備・運営事業を落札した
 「美祢セコムグループ」が設立した特別目的会社ですレ刑務所運営の事業を蒼じて、地元
 の方々と協力して受刑者の社会復帰の支援を行います。

 4.矯正施設
(1)矯正局
 矯正局は,明治12年に内務省監獄局として発足し,その後,司法省,法務府,法務省
等の内部部局として,その名称も行刑局,刑政局,矯正保護局等の変遷を経て,昭和27
年に現在の名称となり,矯正施設(刑務所,少年刑務所,拘置所,少年院,少年鑑別所及
び婦人補導院)の保安警備,分類保護,作業,教育,医療,衛生など被収容者に対する処
遇が適正に行われるよう指導,監督するとともに,最近の矯正思潮に沿った新しい処遇方
法についての調査研究など矯正行政全般に関する事務をつかさどっています。
(2)矯正施設
①刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)
我が国における近代的行刑制度は,明治5年の監獄則の制定に始まり,明治41年に制
定された監獄法によって確立されました。
監獄という名称は,大正11年に,組織法上,刑務所及び少年刑務所と改められ,昭
和12年には被勾留者を主として収容する施設を拘置所と称することになりました。
監獄法は,その後,平成18年,平成19年の2度の改正により監獄法が全面改正さ
れ,その名称も「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」に改められたことに
伴って,監獄という名称も刑事施設に改められています。刑務所,少年刑務所及び拘置所
は,この新しい法律が規定する刑事施設として設置され,現在に至っています。
この一部改正法の施行をもって,「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」は,「刑
事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」との題名に改められ,約100年ぶりに
監獄法の全面改正が完了しました。
拘置所には主として勾留中の被疑者,被告人が収容されています。そして,これら未決
拘禁者が逃走したり,証拠を隠滅したりすることのないようにするとともに,正当な防御
権に支障をきたすことなく,公正な裁判を受けられるよう配慮しています。
刑務所及び少年刑務所では,拘置所と異なり,受刑者の刑の執行を通じて改善更生の意
欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図るために,次のような様々な処遇を行っ
ています。

②少年院
少年院は,大正11年に矯正院として発足しましたが,昭和23年に新しい少年保護の
理念に基づき少年法が改正されたことに伴ってその名称が少年院に改められ,現在に至っ
ています。
③少年鑑別所
少年鑑別所は,昭和24年,少年法の改正に伴って発足した少年観護所及び少年鑑別所
(当時は鑑別業務のみ行う。)が,昭和25年に統合され,少年保護鑑別所として発足し
ました。昭和27年に少年鑑別所と名称が改められ,現在に至っています。
④婦人補導院
婦人補導院は,昭和33年,売春防止法の一部改正に伴い,補導処分に付された者を更
生させるための施設として設置されました。