広報23号 サポートセンター便り
澤 英明
平成29年1月、保護観察所から生活環境調整の依頼があった。
家庭を訪問すると、年金暮らしに入った病身の老夫婦が、長男の帰りをひっそりと待っている状況に見え
た。
玄関には大小のプランターが所狭しと並び、猫が玄関前に寝そべっと」ちらを見ている。
老婦人が「お客さん。あっちへ行かれ。」と猫を急きたてていた。
ある日、サポートセンターに來ておられた保護司さんたちに、「猫や犬を飼う人にどのように声かけをした
ら心を開いていただけますかね・」と投げかけた。
Aさんが反応され、話が弾む。 ’
後日彼女は愛犬をサポートセンターに連れて來られた。
同時に「僕に生きる力をくれた犬」という本を持参された。
アメリカオレゴン州マクラーレン青年更生施設でのドックプロブラムの更生状況を綴ったものだった。
飼い主に捨てられたり、虐待を受けたりして保護された犬を育て、訓練を実施する過程で、受刑者
に責任感や社会性を身に着けていくことを目的としている。
1981年以来百例以上実施され、再犯率ゼロという。
このプログラムに参加した若者が、飼い主を信じ、寄り添う純な犬の行動に人間以上の愛情を感じるであろ
っことや、大が新しい家族と幸せに暮らすために身につけておかなければならないことを考えるであろうこと
ほ、私にも伝わってくる。
本の中で23歳の男性が「自分の変えたいところ?」と聞かれて、「我慢できないとろ。大それぞれで習得のスピード
か違うだろうから、そこで我慢強さ包身につけたいんだ。」と語っているのが印象的であった。
彼も、以前は犬を飼っていたという。
大や猫と一緒に暮らす人の気持ちに寄り添い、その目線で家庭を見、言葉を発することを心掛けたいと思う。
サポートセンターでの会話が、支援の方向を支えてくれている。
家庭訪問での会話を通じて、父子関係に課題ありと感じた。
プランターの世話をしているのは父親だという。
そこに、寡黙な父親と心を結ぶもう一つの鍵がありそうである・