公開研修会「~少年院における教育と社会内処遇について~」
犯罪や非行からの立ち直りには、地域の皆様の暖かいまなざしとご協力が欠かせません。
射水保護司会の会員以外の皆様とも、この機会に「更生保護制度」について知る機会を共有したいと研修部が企画しました。
講師に湖南学院院長田中徹氏をお招きし、「~少年院における教育と社会内処遇について~」をテーマにお話いただきました。
講師紹介
田中院長は、日本3大名園の一つ「後楽園」の近くの岡山県岡山市のご出身です。
昭和57年に長崎の佐世保少年院に法務教官として赴任されました。
これまで、千葉市原・多摩・茨城・甲府・長野・北海(千歳)・神奈川・名古屋など全国の少年院・鑑別所の役職を歴任。
今年で30年のキャリアをもつベテラン教官であります。
また、お父さんが少年鑑別所の職員であり、お母さんがBBS会員であることから、親子2代にわたって矯正の仕事をされています。
講演内容
1.少年院処遇の概要
(1)少年院のあゆみ
(2)少年院の種類、処遇区分、処遇勧告、処遇課程など
(3)矯正教育の方針と教育活動の実際
2.最近のトピックス
(1)「少年矯正を考える有識者会議による提言」について
(2)「少年法改正案」について
(3)少年院長会同(保護観察所長と初の合同会議)について
3.社会内処遇について
(1)平成23年度版「犯罪白書」から
(2)「セカンドチャンス!」について
(3)再非行・再犯防止のために(少年矯正と更生保護の行動連携について)
まとめ
現行の少年院法は、昭和24年以来60年間も改正されることなくきている。
平成9年8月の「広島少年院での暴行事件」がきっかけとなり、現在の改正案につながっている。
今後は、少年の人格を尊重しながら、少年院の透明性を確保し、再非行化を防止するための矯正教育の充実を計り、職業生活に必要な知識、態度を身につけ、資格取得に努めていく。また、自ら学ぶ力を育て、社会人としての責任を自覚させる。
また更生保護との連携は、これからの事業として捉えるべきであり積極的に協力いくべきである。
講演後熱心な質問がいくつもなされ充実した講演会でありました。
参加協力いただきました皆様に感謝申し上げ、ご報告といたします。
(研修部長 檜物和広)
※湖南学院について
湖南学院は非行があって、家庭裁判所で少年院送致された少年のうち、その問題性が単純または、比較的軽く早期改善の可能性が大きい少年を収容して、矯正教育を行う施設です。
湖南学院の目標は、心身ともに健康な人づくりです。
今後は、「長期教科教育課程・長期生活訓練」の二つの処遇過程の教育にも取り組んでいかれます。